介護事業立ち上げガイド

訪問介護で生き残るには

在宅介護生活を支える基本は、訪問介護にあります。

 

現在アパート等で暮らしている高齢者が、
安心を求めてサービスつき高齢者住宅に行こうする事も選択肢ですし、
自宅で暮らし続けたいとの多くの意向に応える体制作りが求められます。

 

<利用者確保のために急性入院リスクへの予防を強化する>

 

利用者の7割は、住み慣れた自宅で介護を受けることを望んでいます。
また、高齢者は、持ち家率が高く、
自宅は自分が自分らしく振舞える居場所でもあり、家賃もかかりません。
このようなことから、在宅で可能な限り生活をしたいという人が多いです。

 

在宅生活を可能な限り長くすることが利用者の希望であり、
訪問介護事業所の利用者確保に繋がります。

 

そのためには、在宅困難の原因となる急性疾患による入院を予防することが第一です。

 

ケアマネジャーと連携し、脱水、骨折、肺炎、誤嚥、低栄養、病状悪化などが起こらないよう
リスクを分析し、それに対して在宅で主治医、ケアマネジャーを中心として、
看護師、薬剤師、理学療法士などとしっかり連携し対応していきます。
そして、排泄や入浴、食事介助という3大介護から一歩進み、
入院リスクを発見し、原因を探り、予防するための訪問介護サービスの改革が求められます。

 

入院リスクの予防を強化することで、在宅の継続性が高まり、
結果として保険給付の増大を抑えることができます。

 

施設の入所待機者も減り、国が目指す方向へと近づくことができるはずです。

退院後に在宅の状態に近づける看護介護をする

介護保険は入院をすると医療保険になります。
つまり、基本的に、入院中に医療保険と介護保険を併用することはありません。

 

厚生労働省は、医療費が高騰するので、
入院の高齢者を何とか介護保険に移行したいと考えています。

 

ですが、入院することに伴う廃用症候群によって
肺炎、低栄養、脱水、骨折などの基本疾患は治癒しても、
全身のADL(日常生活動作)が低下して在宅復帰が困難になり、
老人保健施設や病院を転々とする在宅難民が多くみられるのが現実です。

 

入院すると家族は安心しますが、そのときから在宅復帰に備えることが重要です。

 

急性期の入院から在宅に戻るにはどのようにしたら良いのかは、
ケアマネジャーが入院日から在宅時の状況を医療機関に情報提供し、
在宅に戻るための段取りを提案することが基本となります。

 

つまり、退院後に在宅の状態に近づける看護介護をするためのキーパーソンは、
ケアマネジャーです。

 

入院している医療機関は、自宅とは異なる独自の世界です。
医師をはじめ、看護職、リハビリ、薬剤師、検査技師、栄養士、調理師、
ソーシャルワーカーなどがいて、
バリアフリーでナースコールは24時間365日患者さんに対応しています。

 

ですが、肺炎や脱水、感染症の治療をした患者さんが自宅に戻れば、
自宅には医師や看護師、リハビリ、相談員、薬剤師などもいません。
バリアはたくさんありますし、場合によっては、
同居家族がいない独居高齢者も少なくありません。

 

病院でしかできないケアを提供しても、
在宅では継続できませんから、入院時に在宅の状況、家族構成、
住宅環境や経済状態、今までのサービスの現状などを医療機関に情報提供し、
在宅に戻るための廃用症候群の予防リハビリ、在宅生活の復帰のためのケアを
提供してもらうように働きかけることが大切です。

 

例えば、要介護3の独居の脳梗塞後遺症の高齢者が
健康な側の足を骨折し、手術後リハビリテーション病院に転院したという場合の例を見てみます。
転院先は病院なので、排泄の介助が必要になれば、コールを押すと看護師がやってきてくれます。
そして、車いすに移り、トイレまで連れて行ってもらい、排泄介助をしてもらいベッドに戻ります。
さて、この患者さんが在宅に戻るとどうでしょうか。
在宅では、コールを押しても誰もきてくれません。
食事や通院を考えると、おむつを使ったとしても毎日2回おむつ交換にきてもらうのが、
限度額との関係がありやっとです。
つまり、在宅生活を継続させることは出来ないということになります。

 

今まで、在宅では自分でベッドの頭を上げ、移動バーにつかまり
自力でポータブルトイレに移乗して排泄し、再びベッドに戻っていたというのであれば、
病院でもベッドにポータブルトイレと移動バーをつけて、
ナースコールを押し、看護師が見守る中、自分でベッドの頭を上げ、
介助で座位をとり、声かけで立ち上がり、介助でポータブルトイレに移動し、
自分で下着を下ろして排泄し、自分で後始末をすることを目標としたケアが必要になってきます。

 

患者さんが自分でできることとできないことを見極め、
なるべく自分でできるように誘導して、入院中に入院前の自立度に戻すことを目標に
介助をしてもらうことを働きかけるようにします。

今までのヘルパーが入院中も関わる

一人暮らしの入院の場合、下着の洗濯や売店でのティッシュペーパーや
おむつの購入などが必要です。
この場合、出入りの業者と契約し、
身の回りの整理や買い物を依頼しているケースが見受けられますが、
これを今まで在宅で介護していたヘルパーが継続して行えばどうでしょうか。
下着は要介護者の自宅の洗濯機で洗い、不足の品物は自宅から運び、
同時に病院では行ってもらえない自宅の管理をヘルパーが行うようにしたらどうでしょう。

 

入院中も、定期的に自宅に陽光をいれ、風を通すことができますし、
犬の散歩や猫の餌やり、ベランダの植木の散水、家の戸締りなどを行い、
その都度病院に必要品を届けにいき、身の回りの世話をします。
庭の花を摘んだり、犬や猫の様子を知らせ、自宅が待っていることを働きかけ、
病院の許可が出れば売店に買い物に行ったり、
車いすで院内を散歩したり、太陽や風に当たるなどして、
普段の生活に早く戻れるように働きかけるのです。
外泊の許可がでれば、自宅に戻り、ゆっくりとお風呂に入り、
普段の生活の楽しさを促します。
病院ではなるべく在宅と同じように座位の時間を増やすようにケアをし、
在宅のための体調管理や服薬管理を自分で行うように働きかけます。

 

このような入院中のかかわりは介護保険ではできません。
ですからヘルパーの料金は自費になってしまいます。

 

ですが、国も、入院から在宅へ・・・と考えるのであれば、
一日でも早く在宅復帰を目指す介護を提供できるよう
「入院継続介護料」などの安価な価格を設定し、
従来の自費とは異なる報酬を検討してもらいたいものです。

 

このようにヘルパーが関わっていくことで、
在宅復帰は早く可能になり、入院から在宅へ戻ることができる人も増え、
ヘルパー事業所にとっては在宅利用者が入院することによって介護がなくなる、
サービス料が安定しない現状が改善できます。

介護福祉士を目指す

訪問介護事業所の資格別の就職者数の変化を見ると、
ヘルパー3級はなくなり、ヘルパー2級が56%ほどになっています。

 

サービス提供責任者のヘルパー2級も、実質2013年度からは減算されるためなくなります。

 

介護福祉士を確保することによって、特定事業所加算を目指すことができ、
報酬アップの一つの目標になります。

 

そのため、受験対策のフォローや、模擬試験の実施など、
事業所内では無理であれば他のセミナーへ参加するなど、
介護福祉士資格取得による手当アップ等のインセンティブを働かせることが大切です。

 

介護福祉士を受験しないヘルパーもいるでしょう。
その人も大切な人材としてホコリをもって仕事ができるような
事業所の関わり方も必要です。

 

ガイドヘルパーに挑戦したり、認知症ケアに取り組んだり、
独自性が発揮できるような職場作りを目指しましょう。

 

3級ヘルパーも訪問介護では仕事ができませんが、
自費サービスで質の高いケアを目指すことができれば事業が安定します。