介護事業立ち上げガイド

訪問介護事業の危機

訪問介護事業の介護保険以降の動向はとても厳しい状況にあるのですが、
事業の継続も含め経営が厳しくなるのはこれからだといえます。
その理由としては、主なものに以下の4つがあります。

 

(1) 利用者減に繋がる動向

 

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービスが増加すればするほど
訪問介護との併用ができないために利用者が減る。
・国が力を入れている小規模多機能居宅介護サービスやサービスつき高齢者住宅への
複数サービスの併設が進めば進むほど、訪問介護の利用者が減る。
・今後の軽度要介護者への給付抑制が、「軽度要介護者は2割負担」、
「生活援助を介護保険から除外」、「軽度要介護者の限度額の削減」、
「軽度者は地域の総合支援事業で対応」などいう市町村判断に繋がるという予測がある。

 

このように利用者減に繋がる動向があります。
訪問介護サービスの利用者の3割強は要支援者で、
要支援者は独居ができるので、生活支援を必要としています。
この軽度要介護者のサービス削減は、訪問介護事業の経営に大きく影響を及ぼします。

 

(2) マンパワーの不足

 

現在ホームヘルパー2級保持者は200万人とも300万人ともいわれています。
ですが、介護の仕事、中でも訪問介護の仕事は慢性的な人手不足で、
今後はその不足がさらに進むと予測されます。

 

実際、介護労働安定センターの調査によっても、
訪問介護職員がその他の介護職よりも飛びぬけて不足していることが明らかになっています。

 

そして、今後はヘルパー1級とヘルパー2級の養成が2013年3月で終了します。
4月からは「初任者研修」や「実務者研修」に変わりますが、
そうなると講師要件も厳しくなり、受講生も激減すると予測されます。
結果、新たなヘルパー養成が減り、新しいヘルパーの確保には困難が生じます。

 

また、介護現場3年の経験で受験できた介護福祉士の国家試験は2016年1月の試験から受験不可になり、
実務者研修450時間の受講(時間数は基礎資格で減免あり)が義務化されます。
医療行為を含めた研修が要件となるので、ハードルは高くなります。

 

やっと国家資格に合格した介護福祉士が、在宅より通所・ショートステイ・有料老人ホーム・
介護施設などに誘われれば、在宅介護員を希望する介護福祉士の採用はさらに厳しくなるでしょう。

 

(3) キャリア形成の道が厳しい

 

ケアマネジャーの受講試験の要件が「国家資格」を軸とする方向があります。
つまり、ヘルパーからケアマネジャーというキャリア形成の道が厳しくなるということです。

 

仕事が厳しい割りに、給与は上がらず、
社会的評価も得にくくなり、しかもキャリア形成の道が厳しいとなれば、
人材確保はますます難しくなり、マンパワー主体の仕事である介護の仕事は成り立ちません。

 

独居が増える中、在宅での介護生活を支える基本は自宅での介護サービスとなります。
このまま行くと、在宅で介護が必要になっても、
暮らしを続けること自体が困難になる危険性も生じます。

 

(4) 報酬が減額改定に

 

訪問介護の生活援助はもともと「介護者が同居」の場合に認められていないサービスでした。
しかし、在宅の軽度要介護者には必要なサービスでした。

 

2012年度の改定では、「生活援助」の時間は短くなり、
報酬は減額になっています。