介護事業立ち上げガイド

2012年度改定以降の動向

2012年度改定後、介護保険利用者をサービス受給場所で見ると、
要支援で自宅でサービスを受給している人は90万人ほど、
要介護1〜5でケアマネジャーがケアプランを作成して
自宅でサービスを利用している人が221万人ほど、
小規模多機能サービスを利用して自宅で暮らしている人が6万人ほど、
3つの施設に91万人ほど、居住系の特定施設に17万人ほど、
認知症のグループホームに17万人ほどいます。

 

自宅でサービスを利用している人は、軽度の人が72%ほどです。
軽度の人とは、国が軽度と規定している要支援〜要介護2までの人のことで、
要介護5と認定された人の6割は施設入所、要介護4と認定された人も
半数は施設に入所しています。
また、要介護3と認定された人の3割も施設入所しています。

 

要支援者は、独居が多く、一人暮らしで困るのは入浴や排泄ではなく、
かがみこんで風呂場の掃除やトイレ掃除ができない、
片麻痺で掃除機をかけられない、ゴミをもって捨てにいけないなど、
生活の基本で支障が出ています。
ですから、この支援を行うことで、生活の基盤を支えることが必要です。
また、このような人は一人で外出ができないので、
通院や人とのふれあいが欠如してしまいがちです。

 

買い物は宅配で、ゴミ捨てはボランティアの人でもできますが、
要支援であっても年齢は高く、夏の脱水症状や冬のインフルエンザ、
ノロウイルス感染や肺炎などの予防が必要です。

 

日常生活で介護専門職が服用の確認や外出の支援、
食事内容の支援や転倒予防の訓練などを指導し、支援することによって
症状が悪化してしまうのを防ぐことができ、在宅生活が続けられます。

 

要支援と要介護のサービス利用率にもニーズの違いが見られます。

 

要支援では訪問介護の利用が最も多く、要介護1以上では
介護ベッド、車いす、歩行器などの利用が増えます。

 

そして、要介護度が上がると独居が難しく、
介護している家族の休息が必要になり、
訪問介護よりも通所介護サービスのニーズが高くなり、利用が増えます。

 

入浴や機能訓練などのニーズがでてくると、通所サービスの利用が増えます。

 

さて、看護師を雇用し、看護介護を提供している事業所は3割もありません。
多くの事業所が訪問看護ステーションと連携しています。
この場合、利用者は、訪問介護事業所に定期巡回24時間の定額の単価を支払いますが、
訪問看護を一回も利用していない場合も定額払いで減額はありません。

 

このサービスは、大規模事業所でないと事業化しにくいです。
利用額も高くなるので、利用者や介護者の了解を得ることの困難性も生じてきます。

 

限度額を超える人や頻繁にサービスが入る必要性の高い認知症、
重度者やターミナルケア期などには使い勝手の良いサービスではありますが、
事業所の選択制や他の通所系や短期入所のサービスを使うと、
その分、定期巡回、随時対応型の報酬が減額になるので、
従来利用していた通所型サービスやショートステイの継続利用を確保するなど、
サービス利用全体に冠するケアマネジャーの力が問われることになります。

 

通所サービスや短期入所を利用した場合に引かれる額は定額です。
ですから、通所時間の短縮や機能訓練、入浴をすると、
月額から引かれて通所に支払われる報酬、つまり、
通常の通所よりも定期巡回、随時対応型訪問介護看護の通所の単価がひくいので、
通所サービスの理解を得ることが難しいという問題があります。

 

また、訪問日時は定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が決めることになっているので、
事業所の影響力が高くなり、利用者ニーズとのミスマッチが生じるリスクがあります。

 

さらに、要介護度別の月額定額制のため、給付管理が簡便で、
ケアマネジャーの報酬の見直しに繋がる事も考えられます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護報酬

・ケアプランは、ケアマネジャーとサービス計画作成担当者が共同で作成します。
・訪問日時は、サービス事業者が決定します。
・通院乗降介助は併用できます。
・加算(地区・初期30・退院時共同指導加算・ターミナルケア2000・市町村独自加算、
 緊急時訪問看護加算290、特別管理加算250.300)
 特別地域加算15%、サービス提供加算、処遇改善
・准看護師は2%減額です。

複合型サービスは21箇所程度

もう一つの複合型は2013年1月の時点で、21事業所。
WAMネットにも登場していません。
この事業では、連携は認められていないので、
小規模多機能事業所が看護師を採用し、一体的に訪問介護、訪問看護、
通所介護、泊まりに対応することになります。

 

訪問看護ステーションを併設している場合、
複合型で採用した看護師は、併設の訪問看護ステーションの他の利用者の訪問看護も兼務できます。
そのため、医療機関などでは考えられますが、
報酬の関係で、訪問看護の必要数を入れると持ち出しになり、
開設が留まっている状況があります。

 

これは、事業所が看護師を雇用できるかどうか、
ショートステイを含めた複合サービスを提供できる体制がとれるかどうかによります。

 

さらに、小規模多機能事業所と同じように、
今まで継続してきたサービス事業所を変更することに抵抗がある利用者も多いという点が挙げられます。

在宅サービスは赤字の傾向

2012年度改定によって、訪問介護の生活援助が時間短縮になり、
提供できるといいながらも報酬が2割減となっています。

 

また、通所介護サービスは12年ぶりのサービス提供時間帯の見直しが行われ、
従来時間を提供しているところは減額になり、
時間を延長すると介護職の送迎が残業になるなど、経営面の問題がでてきました。
また、機能訓練加算が本体報酬に組み込まれたので、結果として、その分も減額になっています。

 

社会福祉協議会が在宅サービスの収支を調査した結果では、
3割ほどの事業所の収入が増えたと回答していますが、
5割以上の事業所の収入は減額したと回答しています。

 

訪問介護では、軽度要介護者に生活援助のニーズがあります。
訪問介護サービスの3割は、予防訪問介護(要支援者への訪問介護)で、
2012年度改定は、訪問介護事業の経営にとっては厳しい状況があります。