介護事業立ち上げガイド

要介護認定が倍増し介護保険給付が増加

今までの高齢者ケアは、自治体による行政処分(措置制度)でした。
ですから、利用者が選択することができなかったのですが、
2000年4月1日から介護保険制度が導入され、保険制度としてスタートしています。

介護保険制度が導入された理由

(1) サービスの受け手である「介護が必要な人」が急増し、
   家族では対応できなくなり、高齢期の不安への対策に迫られたため。

 

(2) 介護を提供する事業者の門戸を拡大してサービス競争を起こし、
   サービスの量を増やすため。

 

(3) 医療保険から介護保険に移ることにより、
   医療保険の増加を押さえ、また、高齢者介護の負担のために
   国民からお金を徴収するしくみが必要になったため。

 

日本の高齢化は急激に進み、加齢に伴う要介護発生率も増加していますが、
要介護認定者は、10年で倍増するなど介護保険の利用者も増加の一途を辿っています。

 

日本の65歳以上の高齢者の割合は、現在は5人に1人ですが、
40年後には3人に1人になると予想されています。
このように高齢者の絶対数が急激に増加することからみても、
介護保険制度の必要性は高まっています。

 

介護発生率(介護が必要となる度合い)は、
65〜74歳の前期高齢者では4.2%、
75歳以上の後期高齢者では29.4%、
85歳以上になると、50%、つまり2人に1人が
生活上何らかの介護や支援が必要になってきます。

 

特に2020年以降は、75歳を超える後期高齢者の人口が増加するので、
介護の必要性は爆発的に増加すると予測されます。
すると、介護の負担によってからだを壊したり、
将来を悲観して自殺する人が出てくるなど、
介護が生活そのものを破壊する事例がおきるようになりました。

 

介護問題は、どこの家庭でも一生に一度は訪れる普遍的な生活の課題です。
しかし、家庭の生活を破壊する可能性も含んでいるきわめて重要な課題になっています。

 

そして、このように介護のニーズが爆発的に増大してくると、
介護を福祉制度として捉え税金で対応する方式では、
税額を大幅にアップしなければなりません。

 

そこで、40歳以上の国民が新たに保険料を負担し、
それに国の税金を導入する介護保険制度が求められました。

 

介護保険前の介護サービスでは、市町村や市町村から委託を受けた事業所のみが
サービスを提供できるというものでしたが、
サービス提供者間に競争がなく非効率的であったり、
土・日・祭日対応や24時間対応など利用者のニーズに対応できるサービスの量や質が
確保しにくい状況がありました。

 

このような行政の固定的で閉鎖的なサービスは、
利用者する側が自分で選んだり決めたりすることが出来ず、
介護サービスを受けようと思うと「福祉のお世話になる・・・」などと、
敷居の高いものにしていたようです。

 

ですが、介護保険制度の導入によって、
行政や委託事業者だけでなく、有限会社や株式会社、
NPO法人、医療法人、社団法人、財団法人、社会福祉法人、
生協、農協など、様々な組織や法人が同じ条件でサービスを行う事ができるようになっています。

 

介護保険認定者の数は増加しています。
しかもその増加のスピードは激しく、マーケットの広がりは、
今後も団塊の世代のリタイアと彼らが後期高齢者になる2025年に向けて増加します。

 

それに伴い、介護サービスを利用する人も増え、
介護保険給付額も3兆円から7兆円を超えるまで急増しています。

 

各市町村が「介護保険事業計画」でコントロールしているので施設の数は微増です。
しかし、福祉用具や訪問介護、通所介護サービスは急増しています。

 

厚生労働省は、介護給付の抑制索として2005年に介護保険法を改正し、
要介護認定を見直し、最も人数の多い要介護1を要支援2へと変更し、
介護保険給付金の額も4割減額するなどの措置をとってきました。
また、施設には2006年の介護保険給付額を減らして自費を徴収する
「居住費=家賃」制を導入し、食事代も従来の材料費徴収から、
厨房人件費から設備費までを自己負担に変更しました。

 

このようにして、人数は介護保険によって増加しても、
介護報酬を3年ごとに見直し一人単価は減らす方向で削減しています。

 

厚生労働省のこのような政策によって、介護保険は振り回され、
変化してきましたが、その中でも介護マーケットは色々なビジネスモデルが作られ、
制度を基礎として広がりをみせてきました。

 

例えば、デイサービスが増えると福祉車両が増え、
要介護者の在宅生活が増えると介護食という新たな商品が食糧マーケットに誕生しています。
また、自立支援が叫ばれれば、運動機器の開発や、トレーニング機器が普及していますし、
2012年度からは「サービスつき高齢者住宅」がはじまり、
補助金がついたので、開設が相次いでいます。

 

介護市場は、介護保険制度という公的制度を活用しているので、
一定の制約や政策との関連性を無視することができないマーケットです。
そして、利用者が高齢だったり、認知症や身体的障害があると
自己判断が難しいことが多く、通常のマーケット以上にコンプライアンスが必要です。

 

このように介護マーケットでは特質を見ながらも、
質の高いサービスを開発したり提供することが大切で、
それをすることによって高齢化社会を安心と希望の持てるものへと導くことが必要です。