介護事業立ち上げガイド

介護保険制度の問題点

介護保険制度が導入され、13年が経過し、運用が進むに連れて
いくつかの問題点が出てきました。

保険料と自己負担の問題

介護保険制度がスタートし、介護保険の申請者人数は500万人を突破しています。

 

ですが、認定を受けてもサービスを一つも利用していない人が2割もいます。
入院しているために利用できない人もいます。

 

一人当たりのサービス利用を見ると、各給付限度額に対して6割程度しか利用していません。
その理由としては「1割負担が大きいので利用を制限する。」というものや
「利用したいサービスが足りない。」などがあるようです。

 

平均すると、高齢者の貯蓄率は高いのですが、
高齢者世帯の所得では年に200万円以下が43%もいて、
所得の格差が激しく、年間保険料とサービス利用の1割負担分の支払が
難しいと感じている人も多くいます。

 

また、65歳以上の人の保険料が高くなっています。
当然、サービスの対価は誰かが負担しなければなりません。
ですが、今後も上がり続ければ保険料と利用料の負担が重く、
高齢者の生活を圧迫する場合もあります。
このような事態への対応も課題です。

 

給付額を抑えるため、2006年から介護認定を受けた中で、
要支援と要介護1の軽度介護の人を「予防給付」に切り替えたり、
2012年度からは、地域の総合的支援で対応する方向も検討されています。

 

この検討の結果がどうなるのか、認定を受けた人の7割が80歳以上であるという現状で、
予防給付で生活の継続を図ることができるのかなど、課題は多い状況です。

在宅での生活が困難になる問題

重度介護が必要になると、介護保険のサービスを利用しても、
家族の大きな負担がなければ自宅での生活は難しいものがあります。
ですが、国は施設を減らす方向で動いています。

 

本人が希望する限り、住み慣れた自宅で暮らすことができるよう、
重度介護者のためのサービス見直しが必要です。
そのため、2006年には地域密着型のサービスが登場しています。

事業者が変化に対応できない

介護保険がスタートし、株式会社等にも介護保険サービスの門戸が開かれています。

 

2000年4月の介護保険スタート時点では、訪問介護事業所は11479でしたが、
2008年には22366と倍増し、居宅介護支援事業所も28121事業所と増えています。

 

ですが、休止や廃止にならざるを得ない事業所もあり、
必ずしも順調ではありません。
特に訪問介護では、慢性的な人材不足が続いています。

 

ヘルパーの講習は200万人もの人が修了しているのですが、
業務内容が厳しいものであること、
職場環境の整備状況や介護報酬による生活確保の困難など、
就業に結びついていない現状があります。

 

国の方針が2006年から事業規制と抑制策に大転換し、
それ以降、介護サービスの経営はとても厳しく、
人材不足や利用者の減少が起きています。

 

事業所も格差が拡大し、サービス提供という社会的使命と、
事業継続のための利益追求のジレンマが、各事業所に起こっている現状もあります。

ケアマネジメントの問題

殆どのケアマネジャーは、サービス提供事業者に併設された事業所に所属勤務しています。
そのため、ケアマネジメント事業は、利用者の視点で行うべきなのですが、
自分の所属する事業所のサービスを優先的につけるなどの問題も起きています。

指定取り消し事業所増加の問題

介護保険では、不正請求や指定の違反があると、事業所の指定が取り消されます。
すると介護保険サービスの提供ができなくなります。

 

取り消された事業所は、訪問介護が最も多く、
次に居宅介護士円事業所という順になっています。

 

居宅介護支援事業所の独立性や公平中立性は常に問題となっていますし、
指定が取り消された事業所の中には著明な医療機関や社会福祉協議会もあります。
過給請求のような意図的な不正だけでなく、
指定条件を守らない法令遵守意識の低さなども事業所の指定の取り消しに関係しています。